辛かった体験を表現することの意味

私は,2011年3月11日から2カ月後の5月から1カ月間,そして8ヶ月たった11月中旬に岩手県大船渡市の小学校に赴きました。

11月の「辛かった体験を表現する」という活動について最初に書いてみたいと思います。

震災から8か月経ち,心理カウンセラーは,子ども達が自分の心をケアすることを目的に,作文や詩,絵など,それぞれの表現方法で辛かった津波の記憶や被災した体験を表現する活動に取り組ませました。

しっかりと守られた環境の中で,自分の体験したことを表現することが心のケアになると考えられているからです。

押し込めていた感情を表出することができ,混乱した考えが整理され,不安定だった心が収まる機会です。

ただそれが癒しとなるには,信頼できる他者の存在が不可欠です。自分の表現が信頼できる他者に受けとめられることによってはじめて心がケアされるのです。表現活動に取り組むことができたこの小学校にはその存在があったのです。

私は,被災地での心のケアに関わり「人の心の傷には,人を癒す力が備わっているのではないか」と実感しています。

その実感をこの連載を通して皆様にお伝えしていこうと思っています。