辛い体験をした後に,身体の様子に声をかける心のケア

心のケア

毎月11日を「ストレスマネジメントの日」として,東日本大震災後の被災地での心のケアを中心にストレスケアの実際についてお伝えする特集です。

9.11ニューヨークテロの後には,心のケアよりもマッサージを受ける人が増えたという報告があるようですが,ショッキングな出来事を体験した後の心のケアには,身体への視点が不可欠です。

例えば,子どもが何か辛い体験をした後,心が傷ついているかもしれないと思い「辛くはない?」,とか「どうしたらいいか一緒に考えようか?」と声をかけ,子どもから「大丈夫」と言われて余計に心配した経験はありませんか?

心にダメージを受けた時,その心へ気持ちを向けることはとても大変なことです。

大変さから逃れるために「大丈夫です」と応えてしまうことは良くあることではないでしょうか。

どのような声をかけたらよいのでしょう?

それは「疲れていない?」とか「肩は凝っていない?」と身体の様子を聴いてみるのです。

「何か悩みはないですか?」と言われて自分の悩みを話す気にはならなくても,「肩は凝っていない?」と聴かれると「すごく凝っている」とは言いやすいのです。

この時,「揉んであげようか?」と声をかけてもらえると,「嬉しい。お願いします」といったやりとりになるでしょう。

心よりも身体の方が気持ちを向けやすくサポートが受け入れやすくなる場合は多いのです。

東日本大震災後の子どもの心のケアの中でも,身体を通して心を支援する「ペアリラクセーション」が活用されました。

動作を介した心理カウンセリング

多くの心理カウンセリングは言葉を介して支援をしますが,日本で誕生した「動作法」は,言葉ではなく動作を使った心理カウンセリングです。

「心身一如」とか「心身一元現象」という言葉がありますが,心と身体とひとつと捉え,心の不安や緊張,認知はそのまま身体,特に動作と姿勢に現れているという見方をする心理療法です。

心身一元現象ですから,身体の疲れはそのまま心の疲れ。

心の不安や歪んだ考えはそのまま姿勢や動作に現れている。

反対に,身体の緊張,歪み,堅さ,動かし方に心の様子が現れているのです。

心の不調を生み出す身体の凝りや慢性緊張を弛め,歪んだ姿勢を整えながら自分の意図通りに身体を動かせるようになることで,不調は改善し自分らしさが発揮されていくのです。

心と身体は分けて考えられるものではない,という東洋的な考え方に馴染みがある方には理解しやすいかもしれませんね。

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日常の中での1コマです。

 <身体の様子はどう?>

 「疲れてる・・・,肩こりが酷い・・・」

 <どの辺?>

 「うーん・・・背中の・・・」

 <手をあてるね>

 「ああ,そうそう,その辺」

 <どんな感じ?>

 「ギューっとしていて・・・丸まる感じ」

 <言葉にできるのはいいね。ここ張っているね。ここにいつも力を入れて頑張っているのかな?>

 「えっ,本当? 気づかなかった」

 <抜けるかな…,そう…,上手く力が抜けたね>

 「うん,あー楽になった。ホッとする」

 <良かった>

 「ありがとう」

 <こちらこそありがとう>。

たったこんなやりとりの中にも,他者への安全感や信頼感,自己理解や自己受容,変化するための努力,自己肯定感,安心感,ストレスを自分で整えていく主体性の発揮,そしてお互いに支え合う絆の体験など,多くの肯定的な心理的関わりがあるのです。

Eustress(ユーストレス)では,動作法による心理カウンセリングをご提供しています。

ご関心のある方はお問い合わせください。

https://eustress.jp/ask/