11日はストレスマネジメントの日

海岸線に朝日が昇る

1977(昭和52)年8月11日。

小学生だった私は,兄と従兄妹の5人で甲府市の景勝地,昇仙峡にあるフィールドアスレチックまでカーブが続く山道の国道を歩いていました。何台か大型観光バスとすれ違い,歩いている私たちは足を止め,ガード脇に身を寄せて手を振りながら「バスはいいなあ」と,夏の昼下がりトボトボと登っていたのでした。

フィールドアスレチックで遊んでいる間にサイレンが聴こえ,ヘリコプターも飛んでいましたが,特に気にすることなく2,3時間過ごしました。日が高いうちに家に帰ろうと遊びを切り上げ,「また,あの道を歩くのか」と憂うつな気持ちで山道を下りました。そしてそこで,ショッキングな現場を目の当たりにしたのです。

この日は,昇仙峡でのバス転落事故が生じた日です。

2023年3月11日。

東日本大震災から12年経ちました。

この日は,被災地のことと共に世界で生じる困難な事態にも思いを向ける日になっています。

コロナ禍,ロシアによるウクライナ侵攻,経済状況の不透明さ,気候変動や海洋酸性化などプラネタリーバウンダリーの問題などからも自分が影響を受け,それによるストレスがあることにも気づきます。

2011年の時のように,時として私たちはショッキングな事態に直面し強いストレスを受けることがあります。

そうした時,私たちはそのストレスにどう対処し,困難な事態を乗り越えていくのでしょうか?

もちろん正しい一つの答えはありません。しかし,日本は阪神淡路大震災以降,様々な大災害や重大な事件事故に遭遇し,その度にストレスケアに取組み,智恵を蓄えてきています。

たくさんの傷つきを受けてきた日本は,ストレスケアの先進国です。

2001年のアメリカでの同地多発テロ事件が起きたのは9月11日でした。

ユーストレスでは,毎月11日を「ストレスマネジメントの日」としたいと思います。

これから毎月11日,東日本大震災後に被災地での支援に携わった筆者が,当時を振り返りながらストレスケアの実際を特集したいと思います。

お読みいただけるみなさまに何かお役に立つことがあると幸いです。