東日本大震災から13年  大船渡市を思う

今,私は山梨で生活し,普段,震災の影響を感じる機会は全くありません。

しかし,能登半島地震や13年目の東日本大震災被災地の報道に触れると,今なお困難が目の前に立ちはだかり,悲しみの中に身をおいている人達がいることや,まだ続いている被災を痛感します。

そして,ストレスマネジメントの日に被災地を思います。

私が,被災地の支援カウンセラーとして大船渡市に向かったのは2011年5月7日。

被災から2カ月後でした。

大船渡市は,アイヌ語で「南にある深い入り江」という意味の気仙(ケセン)と呼ばれる地域で,陸前高田とともにこの地域の中核を成す都市です。

沖合が世界三大漁場ともいわれる三陸漁場でもあり,大船渡湾内ではカキやワカメなどの養殖が盛んで,豊富な海産物が港に水揚げされています。

港は,韓国の釜山港(釜山広域市)との外国貿易航路にもなっている重要港湾です。

市内には石灰石鉱山があり,太平洋セメント大船渡工場が稼働しています。

銘菓「かもめの玉子」は大船渡の名産。

陸前高田市の銘酒「酔仙」は,震災後,大船渡市で醸造されているそうです。

そして,千葉ロッテマリーンズの完全試合を達成した佐々木朗希投手も大船渡高校出身です。

2011年の大船渡市。

津波で320人以上が亡くなり,行方不明者は140人を超えていました。

全てが流された街,全てを失った人の悲しみ…。

言葉も出ず,ガレキだけが残った街を眺めている私に大船渡の方がポツリ。

「みんなあガレキっつうけど,あれみんな財産なんだよなあ…」。

今でも,大船渡市で聞いた言葉一つひとつが蘇ってきます。

13年経った日本。

経済では,株価平均が過去最高値を記録しました。

賃金をアップする企業も少しずつ出てきています。

海外の情勢や物価高,金利や為替相場の変動などで安定した状況とは言えないものの,生活や雇用が安定し,街の活気が高まってくるような期待も膨らみつつあるように感じられています。

今年は新NISAが始まり,人々の投資への関心も高まり,財産を活用しようという新たな経済の流れが生まれてきているようです。

被災地の復興のためには,経済の成長は欠かせません。

人の資産には,金融だけでなく,文化や人間関係などの資産もあり,心の豊かさも,お金と同じように生きるための大切な財産です。

しかし,時に私たちは強いストレスやトラウマティックな体験によって心が被災し,心の財産がガレキになってしまうようなこともあるでしょう。

メンタヘルス対策は心の防災対策でもあり,心理カウンセリングは心の災害復興ともいえるのかもしれません。

弊社は,これからも経済成長に一滴ほどでも貢献できような活動ができように努めて参ります。そして,多くの人の投資への関心の中に,金融とともに「心」という目に見えないものに向けられるようになり,心の財産を守り,活かしていくような文化が醸成していくように活動していきたいと思っています。

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