深山マインドに出会う里山マインドカウンセリング 

特集 里山マインド 4

Aさんは,仕事のストレスが溜まるとフラーっとどこかに行ってしまいたくなり,落ちつかないと悩んでいる方でした。どこにも自分の居場所がないように感じられているそうです。

ある日,Aさんはカウンセリングに来る前にクモがハチに襲われていたので助けたというお話をされました。自分はハチよりもクモの方が気持ち悪くて嫌いなのだが,その時はクモがかわいそうになってハチを追い払ったと何の気なしにお話しされました。カウンセラーは,「確かにクモは気持ち悪いですけど,益虫とも言われますね」などと,これも何の気なしに話し,たわいもない対話と感じていたのです。

この日,Aさんはご自身の過去のことをお話されました。詳しくは書きませんが,様々な事情で幼少期に現在と違った名前で呼ばれていた時があったそうです。その名前が「朱〇」。

Aさんは,ほとんど記憶がない頃のあいまいな体験をポツリポツリ語るのですが,カウンセラーは,話の内容が散在してしまうような感じがしてなかなか記憶できませんでした。

カウンセリングが終了し,カウンセラーは内容をふり返ろうとするのですが難しく,ただ来談時にクモの話しをしたことと,過去に「朱〇」と話したことは強く印象に残り引っかかっているような気がしていたので,そのことは忘れないように記録しました。

PCに向かってキーボードに“kumo(クモ)”と打ち込むのですが,そこで“蜘蛛”と変換されビックリするのです。そうです。「蜘蛛」は「朱を知る」と書くのですから。

虫(ムシ)は,無意識(ムイシキ)の象徴と深層心理学では言われますが,Aさんにとって蜘蛛は本来の自分を知ることの象徴なのでしょうか…。また,本来の自分を実現するために現れたパワーアニマルなのでしょうか…。とても不思議です。

Aさんの体験は,無意識的な深山マインドからの恵みであるようにも感じますし,カウンセリングルームは,自然の恵みを日常生活に活用するために手を入れて整備した里山のような場所なのかもしれません。

※ 事実を一部変え,公開の了解を得て記載しています。