夫婦喧嘩と「認知」「感情」「行動」と

里山マインドのストレスマネジメント 7

残暑の日差しはまぶしいですが,洗濯物を干すときの青空が心地よくなってきました。

洗濯がきっかけで夫婦喧嘩をしたという話を聞いたことがあります。夫が退職し,これまでよりも家事をするようになったそうです。でもある日,ドラム式の洗濯機の使い方を知らなかった夫は,柔軟剤を入れる場所に粉洗剤を大量に入れて洗濯をしてしまった。夫は何も気づかずにベランダに干したそうですが,翌日の朝,妻が洗濯をする時に問題は生じました。

妻 「何これー,あなた,なにしたの? 信じられない! まったくもう…,柔軟剤入れるところに粉洗剤が固まってるじゃない」

夫 「知らねえし,柔軟剤なんて使わねえから。面倒な洗濯機だ」

妻 「あなた洗濯機も使えないの? 私がいなかったら家のことなんか何もできないじゃない!」

夫 「そこまで言わなくてもいいだろう! 自分だってこの前,実家のブレーカーが落ちた時,わざわざ呼び出したじゃねえか!」

妻 「何よ! あなたは実家のことになるとすぐにムキになるんだから。もう許せない!」

以降,炎上の様子は省略します。

よくある日常の一コマ。朝の支度が忙しい時間,妻がイラっとしたのも無理はありません。

怒り感情は代表的なストレス反応ですが,こうしたストレスを認知行動療法で行うような認知,感情,行動について分析してみましょう。認知,感情,行動に気づくことは,里マインドのスキルです。

妻が,柔軟剤を入れようとして固まった洗剤を見た時,「余計なことをしなければならない」という無意識的な心のつぶやきがあったのではないでしょうか? 意識/無意識問わず,こうした心の声を「認知」と言います。この時,妻はイラっとした「感情」を抱きましたが,感情は認知とセットであり認知にフィットした感情が生じます。そして,感情に基づいた「行動」を起こすのですが,妻は「愚痴を吐く」という行動をしたと分析できるのです。

「余計なことをしなければならない」と認知すれば,イラっとした感情が湧くのは自然なことです。しかし,もし「慣れない家事に困っているかも」と認知していたら怒りとは違った感情が湧き,「教える」という行動を起こしたかもしれません。

夫の怒りは「バカにされた」という認知によるものでしょう。その怒りから妻に対して「言い返す」という行動をし,今度はブレーカーのことを指摘された妻が「バカにされた」と認知し,こうしたサイクルによって互いの怒りはさらに強まり,いわゆる炎上状態になっていく。

夫が,最初に「知らなかった」と認知し,恥ずかしさを感じながらも「ごめんね」と謝ることができていたら夫婦円満だったかもしれません。それが難しいのですが…。

認知は,その人の様々な背景によってクセやこだわり,信念のように身についているため変えることは難しいものですが,出来事に対する認知の仕方はストレスに影響します。

ストレスになる出来事に対して,認知,感情,行動を振り返り,自覚することができるようになるとストレスをコントロールしやすくなるようです。

パソコンを抱えていればキーボードを扱うことができないように,心の問題を扱うためには心理的な距離が必要です。自分の「認知」と「感情」と「行動」に気づき自覚することは,自分を客観的に捉え心理的な距離をつくることでもあり,ストレスをコントロールしやすくなるのだと思います。