5月17日(水) YBSラジオ「ラララ♪モーニング」モーニングコラムのコーナーで,5月病についてお話させていただきました。YBSラジオの岡村アナウンサーからご質問いただいた五月病の対処方法のくだりについてご紹介します。
岡本アナウンサー 「5月病かな? と思えるような症状を感じたら,どんな対処をしたらいいですか?」
「ストレスを溜めないこと」とよく言われますが,「溜める,溜めない」という考え方よりも「管理する」「マネジメントする」という考え方をおすすめします。
ストレスを感じることは悪いことではありませんし,ストレスには良いストレスと悪いストレスがありますので,悪いストレスにしないようにマネジメントする方法を身につけて欲しいと思います。
ストレスの管理方法には色々ありますが,ONとOFFの切り替えを上手くすることについてお伝えさせてください。
生理的には交感神経と副交感神経の働きですが,わかりやすく言うと,頑張る時には頑張って,休む時にはしっかり休むということです。
そのために役立つ方法には3つあります。
1つは生活習慣を整えること。
2つめが出来事の受け止め方に気づくこと。
3つめが頑張り方を工夫することです。
生活習慣を整えることは心身の基本ですから,バランスの良い食事や質の良い睡眠,不規則な生活に注意し,休養することも大切ですね。
例えば,GW明けはしばらく祝日もがありませんので計画的に年休など取得して頑張った分,しっかり休む時間を自分で管理する,ということを大切にして欲しいと思います。
それがやりやすい職場だと良いですね。
ただ,休める時であっても休むためにはこころの使い方が影響します。
それが,2つめの出来事の受け止め方です。
例えば,「新しい職場で上司が不機嫌でストレス」といったことがあったとしましょう。
「私が何かしたのかな?」と受け止めれば不安な気持ちになりますね。事実は分からないので不安は消えず家に帰っても休まりません。
しかし,「家で何か嫌なことがあったのかな」と受け止めれば,「まあいいか」と不安にはなりません。
受け止め方のことを心理学では認知といいますが,気持ちは認知の仕方で変わりますし,こころとからだのONとOFFに強く影響しています。
「楽になる認知をすべき」ということではありません。そうした考え方は「自分は楽にできる認知ができない」と新たなストレスを作ってしまう認知です。
ストレスになる認知は無意識的ですので,普段,気づかないことの方がほとんどです。
ストレスになる出来事を自分がどう受け止めているのか,ということに気づくことだけで充分です。気づけた自分にOKや良いね!を出して欲しいと思います。
3つめが頑張り方の工夫です。
頑張るということは力を入れるということ,リキむことです。
スポーツでは「リキむな!」などと言いますが,私たちは頑張る時に必要な分だけリキめばいいのに,ついつい余計なリキみが入ってしまうものです。
スポーツと違って日常生活の中でのリキみはなかなか気づけるものではありません。しかし,リキんだままでいたら,凝ってきますし,やがて固まり動かしにくくなってしまいます。
これは,ONの状態がずっと続いているということ,OFFの状態にできにくくなっているということです。
仕事や学校を休んでいるにも関わらず,実は心も身体も全く休めていないという人は多いです。
ストレスをマネジメントすることで,例えば,自分で対処可能なのか,あるいは自分では対処できない出来事なのか,という判断もできます。自分で対処できない出来事をなんとかしようとすることは,明日の天気をコントロールするようなものです。自分で何とかできないストレスは,信頼できる人や,場合によっては医療機関や私たちのような心理カウンセラーにつながることが良い対処となります。
誰もが5月病になる可能性があるから気をつけましょう,という心構えを持っていただき,日常的に自分のストレスをマネジメントするようになって欲しいと思っています。