
あなたは、次のような家族や職場、学校について、どう感じるでしょうか。
◇休日には親子でショッピングやレジャーに出かけ、友だちのように仲が良く、ケンカなどほとんどない家族
◇上司も部下も互いの様子を察し合い、「空気を読むこと」が重んじられる、和やかな職場
◇学級や部活動で「みんなで一致団結して目標を達成しよう」と、協調や努力が大切にされる学校
一見すると、とても理想的に思えるかもしれません。
しかし同時に、
◆「何か息苦しい」
◆「自由がない感じがする」
◆「自分の気持ちが置き去りにされている気がする」
そんな言葉にならない違和感を覚えることはないでしょうか。
◆「仲良し家族なのに、子どもがひきこもっているのはなぜだろう?」
◆「空気を読み合う職場なのに、メンタル不調者が多いのはなぜだろう?」
◆「一致団結して成果を上げた組織で、いじめやハラスメントが起きるのはなぜだろう?」
こうした疑問の背景には、ある共通した心理的力動が存在しています。
違和感と疑問の背景にある「グレートマザー」という心理
前述した家族・職場・学校には、共通する特徴があります。
それは、「守られている安心感」と引き換えに、自由や主体性が失われやすいことです。
◆守られている感じはある
◆その場にいれば安全でいられる
◆しかし、意見が言いにくい
◆離れたり、挑戦したりすることが怖くなる
◆いつの間にか「自分が分からなくなる」
こうした感覚に覚えがあるなら、その違和感はとても健康的なものです。
「仲良し」「空気を読む」「一致団結」といった“良い面”だけが強調され、その裏にある心理的な影が見過ごされると、
ひきこもり / メンタル不調 / ハラスメント / いじめ / 共依存的な関係
といった問題が、形を変えて現れてきます。
その影にあるのが、グレートマザーの病理です。
グレートマザーの心理が関係する現代の問題
次に挙げる言葉に、心当たりはないでしょうか。
◆ いい子症候群/決められない上司/従順な生徒
◆ 家族的経営/やさしすぎる職場/失敗させない教育
◆ 過剰適応/同調圧力/世間体
◆ 親離れ・子離れできない親子/忖度する関係/共依存
◆ ムラ社会/恥の文化/権威主義
これらに共通する心理的テーマは、次の一文に集約できます。
「その中にいれば安全でいられる。しかし、そこから出ることや進むことができない」
私たちの心には、「包み込み、守り、育もうとする無意識の力」があります。
本来それは、生命を守るための大切な力です。
しかし同時に、「呑み込み、離さず、成長を止める」という負の側面も併せ持っています。
これによって生命が奪われる可能性すらある力です。
C.G.ユングは、この根源的な無意識の働きを『グレートマザー』と名づけました。
メンタル不調と向き合うための「グレートマザー」という視点
次のような気持ちを抱いたことはありませんか。
◆ 「いい子でいれば、怒られずに済む」
◆ 「自分で決めるのは怖い。責任を負うのが不安だ」
◆ 「今まで通りが一番安全。変わらない方が楽だ」
◆ 「空気を壊したくないから、本音は言わない」
◆ 「離れると不安。一緒にいれば安心できる」
これらの心理にも、グレートマザーの働きが見え隠れしています。
私はこれまで、心理カウンセリングやコンサルテーション、事例検討を通じて、数千例を超える心の悩みに向き合ってきました。
その多くに共通していたのは、安心を優先するあまり、成長や分離が妨げられているグレートマザーの影響でした。
ところが現在、グレートマザーという視点は、産業心理学や教育心理学、さらには行政やメディアにおいても、ほとんど取り上げられていません。
時に、支援する側がこの負の側面を無自覚に強化し、「支援」がかえってメンタル不調を長引かせてしまうことすらあります。
グレートマザーを知ることは、回復と予防の第一歩
本連載では、「グレートマザー」とメンタルヘルスの関係を、専門的でありながら、わかりやすくお伝えしていきます。
この視点を知ることは、
◆ 心の不調の理解
◆ 問題の予防
◆ 回復への手がかり
に、大きく役立つはずです。
もし、
◆ 息苦しさを感じながらも理由が分からない
◆ 安心を優先して、人生が止まっている感覚がある
◆ 家族や職場の関係に疲れている
そんなストレスを抱えているなら、それはあなたの弱さではなく、心理的な構造の問題かもしれません。
当社では、グレートマザーを含む深層心理の視点から、一人ひとりの状態に合わせた心理カウンセリングを行っています。
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