<イマムラコラム#5> 「どうせ無理」を「できるかも」に変える自己効力感(セルフ・エフィカシー) 前編

自己効力感を高める

こんにちは。公認心理師・臨床心理士の今村です。

日々の生活や仕事の中で、「やらなきゃいけないのは分かっているけれど、どうしても動けない」「自分には無理だ」と感じてしまうことはありませんか?

今回は、私たちが物事に取り組むエネルギーの源となる「セルフ・エフィカシー(自己効力感)」について実体験を交えてお話しします。

「自分にはできる」と思える力の重要性

セルフ・エフィカシーとは、簡単に言うと「自分がその活動を出来ると思える程度」のことです。

心理学では世界的にも多くの研究がされてきたジャンルですが、最近、私自身このセルフ・エフィカシーに関して考えさせられる出来事がありました。

私は毎日歯磨きをしているのですが、今から一年くらい前、鏡を観た時に「ん? 歯が茶色くない?」と気がつきました。

いわゆる「ステイン」が付着していたのです。

私なりに、歯磨きには少しだけ努力していました。電動アシスト自転車ならぬ、電動アシスト歯ブラシを使い、ケアしていたつもりだったのです。

それだけにステインの付着はショックでした。「歯医者さんに通院するなど、従来やってこなかった方法を用いないと解決しないのか?」とも思いました。

どうせ無駄だ」という諦めの心理

巷にステインがとれると謳った歯磨き粉があることは知っていましたので、一応購入しました。

ただ、愛用していた電動アシスト歯ブラシには専用(?)の歯磨き粉があり、「これを使ってはいけないのでは?」という結論に至り、結局、普通の歯ブラシでたまに磨く程度になってしまいました。

当然、一回でステインがとれるはずもありません。

ここで私の心理に起きたことは、「こんな努力をしても無駄だ。ステインはどうせとれない」という諦めでした。

セルフ・エフィカシーを構成する「2つの期待」

さて、ここでセルフ・エフィカシーの話に戻ります。

バンデューラ(1997)の社会的学習理論によると、セルフ・エフィカシーは2つの要因の影響を受けるそうです。

結果期待: 「ある行動によって、ある結果に至るだろう」という予測のこと。

効力期待: 「その結果に必要な行動を、自分が成功裏に実行できる」と思う程度のこと。

私の例で言うと、「専用の歯磨き粉を使えばステインを除去できる」と思えれば結果期待が高く、「除去できない」と思えば結果期待は低いと言えます。

また、「ステイン対応の歯磨きを、自分は継続して実行できる」と思えれば効力期待は高く、「自分にはできない」と思えば低くなります。

この「結果期待」と「効力期待」の高低によって、人の心理状態は以下のような4つのパターンに分かれます。

 結果期待
+(プラス)-(マイナス)


効力期待
+(プラス)A 磨けば落ちるし、自分なら続けられる!C 頑張って磨くけど、どうせこの粉じゃ落ちっこない
-(マイナス)B 磨けば落ちるんだろうけど、自分に継続は無理」D 落ちるわけないし、自分には何もできない。

当時の私は、まさに「D」の諦め状態。

専門家でありながら、「もう口を開きたくない」と絶望すら感じていました。

しかし、ある小さなきっかけが、この膠着状態を打破することになります。

では、どうやって「どうせ無理」のパターンDから、MAXの自信を取り戻したのか?

次回、私が実践した「自分を説得するスモールステップ」についてご紹介し、あきらめの境地から「やればできる」気持ちになるためのコツをご紹介します。

お楽しみに! (後編へ続く)

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