毎月11日にストレスマネジメントの日として心のケアについて特集しています。
前回,自分の心と身体に注意を向けることが,心のケアの第一歩とお伝えしました。
そして,不安や緊張,怒りや悲しみなど,遠ざけていた心に気づき,キャッチできれば,それをコントロールするという次のプロセスに進むことができると書きました。
トレーニングしてみましょう。
自分の心と身体に注意を向けます。今,私は…。
まず感じ取ることができるのは机に前腕をおきながら前屈みでパソコンに向かっている姿勢。机が少し高いので肩が上がってきゅうくつな感じと共に,ほんのわずか自分で首をすぼめるように力を入れていることに気づきます。
呼吸に意識が向きました。真夏の空気を吸い込んでいます。すると何か落ちつかなさも感じます。
それは,投稿を読んでくださる方々がいるのかな,という少し不安のような気持ちだと気づくことができました…。
私は,吸い込んだ空気をフーッとゆっくり吐きながら,首に入っていた力をスッと抜き,「不安を感じるのも自然なこと」と考えて,落ちつかなさを収めることができました。
ストレスマネジメントでマインドフルネス瞑想というハイカラな方法を行うことがありますが,単に「自分の心と身体の感じをそのまま味わう」ということです。
日常でできることです。
しかし,自分に注意を向けることができない時や難しい人がいます。
海で大切な人を亡くしたAさんが,TVにきれいな海が映し出されて不意にチャンネルを変えてしまったように,私たちは無意識的に危険を回避し,安全を確保しようと反応しています。
もちろんこうした心の働きで自分を守っているわけですが,自分に注意を向ける上での大事な条件があります。
それは,注意を向ける自分の心と身体,内側(内界)に確かな安全感があることです。
周囲に危険があれば,注意を外側(外界)に向けなければなりません。
また,辛い体験が癒えていなかったり,不適切な関わりをされてきた体験が未解決なままだったりすれば,内界に注意を向けると否定的な“感じ”が伴い安全感が得られません。
自分の内界に確かな安全感がなく,常に外界からの危険に注意を向け,戦闘態勢のような心構えで日々を過ごしている人も少なくありません。
内側に注意を向けたらいつ危険な目に遭うかわからないという心理状態なので,心と身体に注意を向けることなど簡単にはできないのです。もちろんストレスには脆弱です。
自分の心と身体に注意を向けた時,それに伴って何らかの肯定的な“感じ”がある。
そういう体験を積むことができてはじめて,自分の心と身体に注意を向けてセルフコントロールできる力が身についていくのです。
自己肯定感の低い子ども達が多いと言われています。
こうした体験が少ないことが関係しているのかもしれません。